順番に答えよ

佐々木啓

会社の最寄り駅前によく利用するパン屋さんがある。

昼休み、週の半分はここにやって来て、ゆったりと読書を楽しむことにしている。

 

このパン屋さん、好きなパンをトレイにとってカウンター前に並ぶというおなじみの形式。いわゆる「フォーク並び」、銀行のATMと同じ並び方だ。お昼は書き入れ時。3つのレジがフル稼働して注文をさばいている。

 

さて、ある日、いつもと同じように列に並んでいると、入口からまっすぐレジカウンターの方向に歩んでくるおじさま二人。

コーヒーでいいか、などと話しながら支払中のお客さんの後ろに並んでしまった。

 

このおじさまはパン屋のルールを知らないのだろう。それはそれでいい。問題は店員さんの応対だが果たして、と私は様子をうかがっていたのだが、なんとそのレジの担当者はフォーク並びをしている私たちを差し置いて、そのおじさま二人の注文を受けてしましまった。

 

「次のお客様どうぞ~」私の番がきた。それもなんと先ほどのルール無用の残虐ファイトを仕掛けてきた店員さんのレジカウンターだ。

 

「ごゆっくりどうぞ~!」

代金を支払った私に笑いかけ、にこやかに送ってくれる丁寧な女性の店員さん。

だが、私はその店員さんに伝えなくてはならないことがある。

 

「ごゆっくりどうぞ~!」

 

「え~と、ちょっといいですか?」

「はい?」

 

「すみません。ちょっとお話ししたいことがあります。突然こんなことを言われてお困りかもしれませんが……」

「いえ、はい、なんでしょうか?」(訝しげ)

 

「先ほどレジに直接並んだお客さんの注文をお受けになりましたね? 私たちはお店が提示したルールに従ってフォーク並びをしています。

そのルールを店員さん自ら破ってしまうのでは説得力がないのでは、と私は思います」

 

「あ、はい、申し訳ありません!」(恐縮して)

 

「あ、別に怒っているわけじゃないから心配しないで。ただ、ちょっと不満だったのと、さっきの対応を見て他のお客さんが怒り出さないとも限らないと思って。

私はこのお店が好きでいつも使っています。だからお店のためになればと思って、ちょっとね」

「ありがとうございます。以後気をつけます」(ホッとした感じで)

 

「お昼時いそがしいと、列に並んでの一言も大変だよね。それだけ。いつもありがとう」

 

そして私はいつもと同じく読書を楽しんだ。実話である。

 

何で突然こんな話を? もちろん意味はある。

問題:私が使ったケア・フロンテーションを順番に答えよ。

 

8月19日(土)・20日(日)、私が担当させてもらったBCBベーシックコースのメンバーのための、学びを確かめる復習問題である。

 

今回の私の結論。

 

【このやり取りの作戦立案時間は、例の店員さんに呼ばれてからカウンターに着くまでの2秒くらい。みんなもBCBを使いこなそうよ!】

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佐々木 啓

公認心理師/ICC認定国際コーチ/同認定国際チームコーチ/同認定国際ライフコーチ   ■略歴:2011年 ICNLP(International Community of NLP)認定NLPトレーナー資格取得(英国) | 2014年 「心理療法を応用した子供への関わり方」をテーマに個人的に講演を始める | 2015年 ICC(International Coaching Community)認定国際コーチ資格取得(英国) | 2016年 北区堀船カンフークラブ設立 | 2019年 公認心理師資格取得 | 2023年 柳生心眼流兵術奥伝印可 師匠より“玄盛”を受命される