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エリクソニアン催眠(エリクソン催眠)とは? その特徴は?

エリクソニアン催眠(エリクソン催眠)とは、ミルトン・エリクソン博士がつくり出した催眠技法です。

ミルトン・エリクソン M.D.
ミルトン・エリクソン M.D.

催眠の定義は、分野や流派によって様々な解釈があります。エリクソニアン催眠(エリクソン催眠)では、変性意識状態の一種であるトランス状態のこと。もしくは、その状態に誘導して介入を行うこととして扱います。

ミルトン・エリクソン博士が開発する以前の伝統的な催眠は、権威的・命令的なものが主流でした。そのため、催眠がうまくいくためには、クライアントがセラピストに従順に従うことが前提条件であったと言えます。

また、クライアントが誰であろうと、症状ごとに同じ催眠方法を行っていました。そのため、クライアント、その時々の状況などにあわないこともありました。

対して、エリクソン博士の愛弟子、ジェフリー・K・ザイク博士によると、エリクソン博士の治療の特質には以下の7つがあると言います。

1.活用(利用)utilization

患者や家族が面接の場に持ち込むどんなものも、治療の成果を上げるために活用されうる。

2.方向づけする

エリクソンのコミュニケーションは多重的で、しばしば1つのメッセージで複数の意味を伝えた。

3.経験尊重主義

エリクソンは、人は「洗いざらいぶちまける」ことによってではなく、何かを行うことによってもっともよく学ぶ、と確信していた。

4.ドラマを利用する

エリクソンには劇的な演出をする才能があった。単純な考えも、まるで劇作家のようなやり方で提示することによって、生き生きしたものにした。

5.治療を個々の患者に合わせる

エリクソンは、患者の物事に対する姿勢や、スタイルや、感情や、思考過程や、行動といったものの独自の本質を理解しようと努めた。

6.未来を志向する

多くの分析的なアプローチが、変化を起こす主な方法としてその人の個人的な歴史に頼るのとは対照的に、エリクソンは建設的な未来をもたらすことのできる、現在の心身構造を活かそうと努めた。

7.無意識を信頼する

エリクソンにとって、無意識とは、生理的・心理的に学習したものの貯蔵庫であった。

この様なエリクソン博士の行ったことは、エリクソニアン・アプローチとも言われています。

ミルトン・エリクソンとは?

ミルトン・エリクソン博士(1901-1980)はアメリカの精神科医であり心理療法家でした。

「治療に抵抗するクライエントなどいない。柔軟性にかけるセラピストがいるだけだ!」

この言葉の通り、クライアントごとに異なるアプローチを行い、その臨機応変さに「魔術師」「名人芸」等と称されました。

『ミルトン・H・エリクソン書簡集』(ジェフリー・K・ザイク/ブレント・B・ギアリー 編、二瓶社、2008年)では、ミルトン・エリクソン博士のことを以下の様に伝えています。

図1

ミルトン・H・エリクソン医学博士とは何者だったのか――そしてどんなことをした人だったのか?

簡単に言えば、ミルトン・エリクソン(1901-1980)は臨床催眠の使い方に関して20世紀随一の権威であった。そして20世紀随一の心理療法家であったと言う人も多い。

エリクソンが治療の実践面につけ加えたものは、ジークムント・フロイトが理論面に寄与したものに匹敵する。さらに、フロイトが精神医学の文献でわずかに片手で数えられるほどの症例で代表されているのにひきかえ、エリクソンは300以上もの症例を詳述している。

無意識の力を活用する!

図2

ミルトン・エリクソン博士は、クライアントが持っている無意識の力を活用する技術を治療的催眠として高度に洗練させました。

エリクソニアン催眠(エリクソン催眠)では、トランス状態のことを焦点化された意識の状態と考えています。それは、注意を何かにむけ、その集中する世界に没入する状態のことを言います。

その状態の中では、無意識にアクセスしやすくなり、心はより開かれ、時間や空間に対する柔軟性が高まるのです。つまり、無意識がもつ可能性や資源を、より使いやすくする状態をつくることができます。

例えば、以下の様なことを行えます。

間接・直接的な暗示をする

肯定的な記憶・体験を活用する

想像・リハーサルをする

認知の再構成をする

パフォーマンスを強化する

原点を学ぶことで、他のアプローチ法の効果を高められる!

ミルトン・エリクソン博士が取っていたアプローチは、家族療法、ブリーフセラピー、NLPなど様々な心理療法のモデルになりました。

『ミルトン・H・エリクソン書簡集』(前掲書)では以下の様に説明されています。

ミルトン・エリクソンは多くの継承者を生み、新世代の心理療法家にも影響を与え続けている。心理学に対する彼の貢献には、6つの主要な流れがあると言われている。

1.戦略的心理療法

2.メンタル・リサーチ・インスティチュート(MRI)

3.解決重視療法(Solution-focused Therapy)

4.アーネスト・ロッシの精神生物学的アプローチ

5.神経言語プログラミング

6.新エリクソン派

(中略)要するに、エリクソンの遺産は、個人療法、夫婦療法、家族療法の分野に多大な貢献をした人々に影響を与えてきたのである。この遺産は今もなお朽ちることなく、彼の考え方は認知行動療法などの大きな流れに組み入れられつつある。さらに、今日の治療としては時間を制限した手法が必要とされており、エリクソンは多くの人々からブリーフセラピーの父と目されている。

図3

この様に、ミルトン・エリクソン博士が生み出したアプローチは、多くの分野や人々に多大な影響をあたえました。

エリクソニアン・アプローチが提供できるのは催眠だけではありません。改めて、その原点を学ぶことは、他のアプローチ法の効果をより高めることも可能にしてくれます。

ミルトン・エリクソンの継承者たち !

新エリクソン派には以下のような後継者がいます。

スティーヴン&キャロル・ランクトン

マイケル・ヤプコ

スティーヴン・ギリガン

ジェフリー・ザイク など

この世代の治療者は、最晩年のエリクソンとともに研究を行いました。彼らの研究は、ミルトン・エリクソン博士の催眠の使い方に重点を置く傾向があります。

そして、ミルトン・エリクソン博士のアプローチの研究、発展、促進のために作られた米国の非営利団体がミルトンH.エリクソン財団です。

財団の所長がザイク博士、チーフトレーナーがギアリー博士です。

Zeig

ジェフリー・K・ザイク博士 Jeffrey K. Zeig, Ph.D.

・アメリカ ミルトン・H・エリクソン財団 所長

1947年生まれ。催眠療法家として知られるミルトン・エリクソンのもとで学ぶ。アメリカアリゾナ州フェニックスにて臨床心理学者として個人診療を行うと同時に、40カ国以上で国際的にワークショップを実施。また、編集、共同編集、執筆した心理療法に関する書籍は20冊以上におよび、それらは12カ国語に翻訳されている。

日本語に翻訳された著書として
『ミルトン・エリクソンの心理療法―出会いの三日間』
『エリクソニアン催眠誘導―体験喚起のアプローチ』
『ミルトン・エリクソンの心理療法セミナー』(編集)
『ミルトン・H・エリクソン書簡集』(ブレント・ギアリーと共編)

ミルトン・エリクソンとザイク先生 1975年
ミルトン・エリクソンとザイク先生 1975年
ギアリー

ブレント・ギアリー博士 Brent B. Geary, Ph.D.

・アメリカ ミルトン・H・エリクソン財団 チーフトレーナー

1989年からフェニックスで個人開業をおこなう傍ら、20年以上にわたり、世界各国でエリクソン催眠のワークショップやトレーニングコースを実施し、多くの催眠療法家を育成した。催眠をシンプルに説明し、実際の臨床場面で活用するための実践的な学びを提供することに定評がある。

著書として
『ミルトン・H・エリクソン書簡集』
『The Handbook of Ericksonian Psychotherapy』
(ともにジェフリー・K・ザイクと共編)

ミルトン・H・エリクソン財団のトレーナーから学ぶ ~ DVD教材シリーズ!

日本には、エリクソンに関わる研究・業績・活動に関心を持つ会員が交流を行う日本エリクソンクラブという組織があります。そして、クラブは、ザイク博士とギアリー博士を日本に召致し、日本の専門職の人々に、エリクソニアン催眠(エリクソン催眠)を学ぶ機会をつくりました。

そのトレーニングを収録して、DVD教材にしたものが以下のものです。

エリクソン財団ギアリー

 催眠前、誘導、活用、終結、催眠後という催眠の5つのプロセスを丁寧に解説

eri01

初級編ではエリクソニアン・アプローチにおける原理原則を中心に解説します。

エリクソニアン催眠(エリクソン催眠)における5つのプロセス、催眠前、誘導、活用、終結、催眠後各パートに詳細な解説とトレーナーの巧みなデモンストレーション、そして実践的なエクササイズを通して革新的なミルトン・エリクソンのアプローチを理解することができます。

活発な質疑応答
活発な質疑応答
DVD本編にぼかしは入っていません
DVD本編にぼかしは入っていません

 活用(utilization)とメタファー/ストーリーに焦点を合わせる

eri02

中級編ではいくつかの高度な誘導技法、活用(utilization)概念の広がり、そして催眠や心理療法における間接技法の使い方について解説します。

ミルトン・エリクソンと言えば誰もが連想する物語やメタファーを組み込んだ催眠、クライエントが持ち込むものをすべて「活用」してトランスに誘導する方法など、より高度なエリクソン・アプローチを学ぶことができます。

「クライエントの体験について話をするときは、3つのレベルで話すことができる」
「クライエントの体験について話をするときは、3つのレベルで話すことができる」
乖離を見極めるためのデモンストレーション(本編にぼかしは入っていません)
乖離を見極めるためのデモンストレーション(本編にぼかしは入っていません)

うつ治療、不安治療、怒りのマネジメント、パフォーマンス強化に焦点を合わせる

えりくそん

このDVDでは私たちが臨床場面でよく出会う症状に対して「催眠という枠組み」を利用するとどのような見立てとアプローチができるのか、が学べます。

うつ治療、不安治療、怒りのマネジメント、パフォーマンス強化を取り上げて、アセスメント法、面接、患者教育、そして催眠など豊富なデモンストレーションと実習を収録しています。

不安治療に関する質疑応答
不安治療に関する質疑応答
怒りのマネジメント面接デモ(本編にぼかしは入っていません)
怒りのマネジメント面接デモ(本編にぼかしは入っていません)

生きることの天才・エリクソンから伝えられた姿勢とアプローチ

zeigrogo

エリクソン晩年の愛弟子として知られるザイク先生が、エリクソンその人から学んだことはもちろん、「エリクソンの行っていたことは一種の芸術である」という観点から芸術の構成要素をどのように催眠やセラピーに活かすかをテーマにしたDVDです。

次々に襲い掛かる邪魔をセラピストはいかにトランスに活用できるか。
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セラピーが成功するには臨床家がどのような姿勢でいるかが大きく影響する
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ミルトン・H・エリクソン M.D.
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