家族療法は「家族全員を集めて行う心理療法」というスタイルをイメージされがちですが、実際のところそうとも限りません。

平木先生はこう言います。

「“家族”には誰もが関わっています。家族から生まれない人はいないので（笑）

ですから、家族のことをテーマに面接に来られた方には、“家族療法”の考え方はうまく活用することができます」

家族療法は心理療法の形式（スタイル）ではなく“考え方”です。個人が表現している症状や問題は「個人」のものではなく、個人を取り巻く「関係性」の問題であると考えるのです。

個人は様々な関係性の中にいます。夫婦、家族、親戚、友人、仕事、地域の共同体、社会、経済、環境、政治・・・。しかもそれらは全て複雑に関連しています。仕事上の問題は夫婦関係に起因しているかもしれませんし、居住環境の悪さが人間関係に影響しているかもしれません。私たちはシステムの中に生きているのです。

そこで家族療法は「システムに焦点を当てた支援」という意味で、システミック・アプローチとも呼ばれています。システムは相互作用しますから、その特性を基盤にしたさまざまな理論や技法が開発されています。

このＤＶＤは家族療法、システミック・アプローチを実践している平木典子先生が、家族療法の各理論とその技法を解説します。